潰瘍性大腸炎の原因・分類・審査・診断
潰瘍性大腸炎の原因はわかっていません。しかし遺伝と腸の過剰な免疫反応が関係しています。タバコの喫煙はクローン病には有害ですが、潰瘍性大腸炎のリスクは減らしているように思われます。ただし喫煙はさまざまな健康上の問題を起こす原因となるので、潰瘍性大腸炎のリスクを下げるために喫煙することは勧められません。
分類
潰瘍性大腸炎の広がりによる分類
全大腸炎型潰瘍性大腸炎、左側大腸炎型潰瘍性大腸炎、直腸炎型潰瘍性大腸炎
病期による分類
活動期潰瘍性大腸炎、寛解期潰瘍性大腸炎
重症度による分類
軽症潰瘍性大腸炎、中等症潰瘍性大腸炎、重症潰瘍性大腸炎、激症潰瘍性大腸炎
臨床経過による分類
再燃寛解型潰瘍性大腸炎、慢性持続型潰瘍性大腸炎、急性激症型潰瘍性大腸炎
初回発作型潰瘍性大腸炎
検査・診断
潰瘍性大腸炎の血液検査では貧血や、白血球数の増加、アルブミン(血液中のタンパク質)濃度の減少、赤血球沈降速度(ESR)の上昇がみられ、これらは炎症が活発になっていることを示します。潰瘍性大腸炎の診断は、大腸のX線検査と内視鏡検査でおこないます。
S状結腸鏡検査(柔軟な観察用チューブを用いたS状結腸の検査)を行うと、炎症の重症度を直接観察し、診断を確定できます。潰瘍性大腸炎の症状がない時期でも、腸全体が正常にみえることはほとんどなく、病理組織診でも慢性炎症が認められます。
腹部X線検査では、炎症の程度と広がりがわかります。バリウム注腸後のX線検査や大腸内視鏡検査は、潰瘍性大腸炎の活動期に行うと穿孔を起こすリスクがあるので、通常は治療を開始する前には行いません。しかし大腸全体への炎症の広がりを診断するために時期をみて、大腸内視鏡検査を行います。
潰瘍性大腸炎の臨床像
潰瘍性大腸炎は基本的に発症すると緩解・再燃を繰り返します。全消化管に生じるクローン病と異なり、基本的に大腸に限局して生じ、大腸癌の合併頻度が高いです。